MIYAZAWA Yasuhiko

宮澤 泰彦

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AIは本当に言葉を理解して生成しているのだろうか?

 ChatGPTが一般に供用されて一年が経とうとしています。人間が与えた問いに対するAIによる回答の自然さと精妙さに驚かされた方も多いと思います。近い将来、様々な職業分野でAIは人間にとって代わるのではないかとさえ言われています。はたしてAIは人間言語の意味を本当に理解して応答しているのでしょうか?

 私が半世紀ほど学んできた言語学では、音韻論、語彙論、統語論、意味論、語用論といった部門別階層構造を想定して理論構築してきました。語義の定義には、基礎的意義素の組み合わせや、現実世界の認識を反映した意味フレームなどを仮想し、記号の連鎖である言葉がいかに意味を担って人間同士の伝達を媒介するかを説明しようとしてきました。

 一方、ChatGPTに代表される生成型AIは、自然言語処理という学問分野の成果からもたらされました。実際に使用された言葉の大規模データベースから、語の生起する前後関係から類推し、深層学習という繰り返し手法で近似解を導き出します。いわば意味処理を端折った統計的記号処理です。私は語用論とテキスト言語学の知見から、現行AIの処理の粗さを補完できるのではないかと考えています。

職名
嘱託教授
担当教科
英語
専門分野
語用論,認知言語学
キーワード
文法化,法助動詞の意味論,選択体系機能言語学
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